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環境カオリスタが行く!「ホリスティックトラベル」のススメ vol.29 秋田・白神山地編(2)

キーワードはブナの森、微生物を育む場所へ

白神こだま酵母を使ってパンを焼く「ボスケット」のすぐ先には、留山(※1)と呼ばれる白神の自然に触れるのにとてもよい規模の遊歩道があります。縄文時代からの生態系が残っているとはいえませんが、白神山地の一部分として400年前からの生態系をほぼ保っているこの場所ならば、少しは白神こだま酵母が育まれた環境に触れることができるはず!

1周1時間ほどのガイドウォーク。留山は海までの距離も近く、樹齢300年以上のブナやミズナラの巨木が見られる。入山にはガイド同行が必須。

白神山地は、青森県から秋田県にまたがる13万ヘクタールの森林地帯の総称ですが、中でも、入山許可の必要な核心地域(保存地区)を中心に外側を囲むように森林伐採が禁じられている緩衝地域(保全利用地区)の約1万7千ヘクタールが世界自然遺産に登録されています。

核心地域は「遺伝子の貯蔵庫」ともいわれるほど未知の微生物や菌類があり、日本固有種の菌類がまだまだ見つかるはずと期待されている、いわば、天然の博物館のような区域。だから、特別な場合を除いて人が入れないことになっています。そう、前編でご登場いただいた高橋慶太郎さんはこの核心地域で採取した菌を研究していました。

今回歩く留山は標高180メートルほど。関東だと標高600メートルくらいのところに植生するブナが、海から近い低標高の里山にあるのは北東北ならではとのこと。ブナの森を歩く気持ちよさは能登編でも体験済みなだけに、楽しみです。

留山は、世界自然遺産区域ではないが白神山地を成す一部。遊歩道には水源となる大切な森林の根を守るためにボードウォーク(※2)が整備されていた。

「よろしくお願いします。わだす、きぐぢといいます」。
Uターンし、地元の魅力を伝える菊池文子さんの軽快な秋田弁のガイドで足取りも軽く歩き出しました。

「白神山地には特に目立つものはありませんが、よく見るとひとつひとつが深いんですよ」という菊池さんは、秋田白神コミュニケーションセンター(※3)に所属する白神のプロフェッショナルガイド。愛称は、秋田弁の文ちゃん。

ブナは葉が茂っているせいか、夏でもほぼ木陰。ブナの葉は少しくらいの雨なら傘の代わりになってくれそうです。菊池さんに誘導されて木の幹を見てみると、木肌に水の流れた跡が見えます。
「ブナの葉を伝って枝から幹に水を集め、それが土に流れていくんですね。たくさんの水を吸っているからブナ林の土はスポンジみたいに柔らかいんです。人が足で踏んでその土を固めないようにということや、木から落下した種子を守るために足元がボードウォークになっているんですよ」。
ブナ林は大切な水源ともいわれているだけに、ガイドを入れることやボードウォークにすることで保護されていました。

※1 留山
樹木や森林の福利作用を保全する目的から一定の山林の樹木の伐採を禁じられている山のこと。伐採を止めたことから「留山」と呼ばれ、全国各地にある。
※2 ボードウォーク
木の板でつくった木道のこと。
※3 一般社団法人 秋田白神コミュニケーションセンター
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Profile

朝比奈 千鶴 (あさひな・ちづる)
環境カオリスタ、トラベルライター

自然や文化を体感することで旅人があらゆるものにつながりを実感する旅を「ホリスティックトラベル」として提案している。また、これまで国内外問わず「人びとの暮らし」を取材してきた経験から心地よい暮らしを提案するレシピ本やイベントなどのプロデュースも行う。CS旅チャンネル「ホリスティックな週末」では、ナビゲーターを務めた。