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環境カオリスタが行く!「ホリスティックトラベル」のススメ vol.32 インドネシア・フローレス島編

フローレス島の暮らしを訪ねて

インドネシアに“フローレス島(注1)”という島があります。
その名前を目にしたとき“花の島”だなんて、なんとまあ素敵そうなところなんだろうと勝手に島の香りまで想像してしまいました。きっと、南国特有の甘い芳香が漂っているに違いない!とカオリスタとしては思ったわけです。

バリ島で小さな飛行機に乗り換えて窓の外を眺めていると、さすが1万3466もの島がある世界1位の群島国家インドネシア。小さな島々の上を遊覧飛行しているかのようです。フローレス島が属する東ヌサ・トゥンガラ州だけでも、大小あわせて1000くらいの島々が点在しています。南太平洋の小さな島々は、島ごとに気候や植生が違い、棲んでいる動物や民族も異なるのだと聞いたことがあります。
空の上から無数の島々を眺めながら、それぞれにどんな暮らしが営まれているのだろうと胸が躍りました。

いくつもの島々を越えて遊覧飛行をしているかのような気分で、フローレス島西端にあるコモド空港に降り立った。

大航海時代にマラッカを経由してやってきたポルトガルの冒険者たちが、海上から陸の美しい花々を見て「花の岬」だと言ったそうですが、私の目にはどうやってもそれは見えない。どうして?と現地の人に聞くと、「ああ、今は乾季だから植物も休んでいるよ」と。私が旅行に出かけたのは、秋。フローレスという名だからといって、ブーゲンビリアなどの花が島じゅうに咲き乱れているだろうとすっかり思い込んでしまっていたのでした。

気を取り直して、現地マンガライ族のガイド、マキシさんと一緒に島の市場へ。さすが現地の人の案内は外しません。生命力あふれる植物がそこかしこに。
「みんな、あちこちの村から農産物を持ってきてここに並べて売るんです」
色とりどりの野菜や果物のなかで、多くの場所を占有していたのは緑の茎に同じ緑っぽい色の花がついた野菜。まるで、緑の花束のような可憐な野菜は、パパイヤの花でした。

11月頃はパパイヤの花の季節。生食には難しくとも、火を入れてシャキシャキと歯ごたえも楽しみながら食べるのがフローレス流。

「ちょうど、パパイヤの雄花が旬なのでおいしいですよ。ちょっと食べてみて」
とマキシさんに手渡され、花を口の中に入れてみると、苦い。えぐみもある。あの甘く熟れたオレンジ色の果実をつけるというのに、花の生食は難しそうです。
「三度もお湯に通して、えぐみをとるのよ」
野菜売りの女性が教えてくれました。パパイヤの花の部分は、そうやって下ごしらえをしてスープの具にしたり、空心菜と一緒に炒めたり、自宅のごはんのおかずによく使われるんだよ、とマキシさんは舌なめずり。おいしい食べ物の話をするときは、万国共通でいい顔をするなあと思います。私も、市場で意外な花を見つけて嬉しくなってしまいました。

バナナや 唐辛子の他、コーヒーやキャッサバ(タピオカ芋)やレモングラス、香菜など郊外の村で育てた農産物は色とりどりに並べられていた。調理前なのでスパイスはあまり香りがしないが、レモングラスは爽やかでとても濃い香りが楽しめる。

玉ねぎの皮をむいたり、ゴミをとったり、お店番はおしゃべり以外も忙しい。

フローレス島の西端、港町・ラブアンバジョの市場は、住民のコミュニケーションの場所。売り手も買い手も賑やかにおしゃべりをしています。ジャワ島はイスラム、バリはバリヒンドゥーを信仰する人がほとんどですが、ここフローレス島では、ポルトガル統治時代の影響もあってカトリックを信仰する人が人口の6割程度。山に住む人たちは自然崇拝とカトリック、海に住む人たちはムスリムの人が多い傾向にあります。インドネシアは750以上の民族、異宗教の人たちが共存している多民族国家。ラブアンバジョにいる人たちはそんなエスニックグループに属する人たちのなかでも3種類の民族の人たちが共存しており、さまざまな文化、歴史背景を持つ人たちが市場に集まっていました。そんな売り子さんたちとの会話も楽しく、あれこれ試食したり、写真を撮ったりして次の場所へ。

注1 フローレス島
バリ島から小型飛行機で約1時間半。小スンダ列島を構成する火山島のひとつ。2000メートル級の山々が島の面積の多くを占めており、横に長く蛇のように見える形から、フローレス島という名称の前は、「Nusa Nipa(蛇の島)」と呼ばれていた。

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Profile

朝比奈 千鶴 (あさひな・ちづる)
環境カオリスタ、トラベルライター

自然や文化を体感することで旅人があらゆるものにつながりを実感する旅を「ホリスティックトラベル」として提案している。また、これまで国内外問わず「人びとの暮らし」を取材してきた経験から心地よい暮らしを提案するレシピ本やイベントなどのプロデュースも行う。CS旅チャンネル「ホリスティックな週末」では、ナビゲーターを務めた。