穏やかなかんきつ系の香り、えぐみのないまろやかなアロマ。お湯を注ぐと青々とした生葉の色が蘇る武雄そだちのレモングラスティー。ハーブティーの中でもすっきりとした飲み心地で人気の高いレモングラス。東南アジアが原産なので、買うならば“輸入もの”というイメージがありますが実は日本でも作られているのをご存知ですか?
佐賀県武雄市でのレモングラス栽培は、町おこしの一環として平成18年5月から始まりました。地球温暖化や耕作放棄された農地を逆転発想して利用することにし、高温多湿で育つレモングラス栽培を市長が発案。ハーブティーや石けんなどに製品化して販売することに成功しています。それでは、武雄市に行けばあたり一面はレモングラスだらけ?
と想像してしまうと、いたってもいられなくなるのが、環境カオリスタ。心地よい香りの源を探しに、早速、佐賀県武雄市に向かいました。
佐賀県武雄市、棚田の耕作放棄地を利用するべく植えられたレモングラス。中山間地の飛散農薬が届かない場所で栽培されています。武雄といえば、シーボルトや伊能忠敬も入浴したことで知られる開湯1300年の古湯で有名な温泉地です。飛行機と電車を乗り継ぎ、博多から列車に乗ること1時間、武雄温泉駅に到着しました。
駅から山に向かって車を走らせると…ありました!美しい棚田の景色に同化するようにレモングラスが生い茂っています。レモングラスを栽培する農業組合法人「ハッピーファーマーズ」へ行くとスタッフが各パートにわかれて洗浄、乾燥、裁断の作業を行っていました。聞けば、年に二度の刈り取りのはざまの時期で、繁忙期なのだとか。ちなみに、7~8月が一回目、二回目の収穫は9~10月になります。レモングラス栽培は、ほかの植物よりも手間が少なく、高齢者も従事しやすいのが利点。生産を開始して4年目を迎え、軌道に乗ってきた今では品質の良さも手伝って都内のデパート、生協等でも販売されるほどになっています。
同行した香りのスペシャリスト、カオリンは、早速葉の組織を傷つけて香りをチェック。香り成分のシトラールで移動の疲れもすぐにリフレッシュできてしまうから不思議なものです。武雄のレモングラスの元苗をタイのオーガニックファームから輸入し、現在では株分けにより苗を確保しています。有機栽培で、農薬や化学肥料を一切使用しておらず、昔ながらの手と体を使う農作業で行っています。それは、丁寧で安全なものを消費者に届けたいという生産者の想いもとともに生産地が大きな機械で簡単に耕せない棚田や耕作放棄地の再利用だからということもあります。それを逆手にとって小さなグループで細やかな手作業を行っていることが商品の付加価値となっているのだから、怪我の功名ともいえますね。
武雄市といえば今年、市役所にfacebook課が出来たことで注目されていますが平成18年に、当時最年少市長として樋渡啓祐氏が選ばれてからというもの積極的に新しい特産品づくりを行っています。レモングラスと同じく、地球温暖化により里山に降りてくる猪も捕獲して大自然育ちの猪肉として加工、販売しており、新しい産業が生まれるところには雇用が生まれていました。古い温泉町も、観光客向けに外面だけを整えるというのではなく住人が住みやすい、働きやすい町として変身を遂げるといたるところに若々しい息吹が感じられます。躍動している地域へは、訪れるほうも自然に元気をもらえますよね。

和食店「旬彩このみ」は、レモングラスを浮かべた鍋で猪しゃぶしゃぶを考案。まったくくさみのない新鮮な猪をさっぱりとレモングラス風味でいただく。猪肉とレモングラス、地元特産品をコラボさせた武雄ならではのスペシャル料理。

武雄温泉・大正浪漫の宿「京都屋」では毎月26日は季節湯の日。レモングラス湯の日もあります。ちなみに、京都屋のご主人が手描きをした武雄温泉の地図は、センスのよく情報がちりばめられているので必見!
ご紹介した2軒以外にも、スイーツやドレッシング、石けん、入浴剤、変わったところでは日曜朝に開催される楼門朝市で食べられるところてん、陶器の釉薬や染色材料にもレモングラスは使われ、まちなか案内所「がばい」に行くと関連商品が置いてあるので棚に並べられた商品を見るだけでその輪の広がりが一目瞭然です。今では他の自治体が武雄に続け、とひっきりなしに視察に訪れているのだとか。


