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皆さんのライフスタイルはご自身の思い描いたように実践されていますか?
1 実践している
2 思い描いてはいるけど実践できていない
3 まったく意識していない
おそらく、多くの環境カオリスタの皆さんは1、2に当てはまるのではないでしょうか。
私はといえば、1に近い2に当てはまる気がします。
一昨年、えいやっと気合いを入れて都内から海辺の町に引越し、
日々、体を動かし、なるだけ自分の「想い」に沿った仕事をして
ベランダでハーブを育て、ゴミの捨て方に配慮し、
休日は近所の友人たちと交流する、ささやかな暮らし。
さらに理想を思い描くとしたら、木々の生い茂る緑濃き場所で生活し、
できれば家族も増やして…とも思いますが、それはハードルが高くなるので
とりあえずは出来るところからライフスタイル変換を図っています。
ストレス解消、といっては仕事の帰りにうさを晴らすように
洋服や食材などを衝動買いし、連日、真夜中まで飲み歩いていた頃、
いわば3から2の状態だったときというのは
長い休みがとれると逃げ出すように日本から出て、
自分の心の隙間を埋めるドキドキするような何かを探していた気がします。
ちょうどそんな時期に出合ったのが、南インドのエコヴィレッジ(※)「オーロヴィル」でした。
振り返ると、1ヶ月半ほど滞在し、エコライフスタイルを疑似体験したことで
「生活の仕方を変えたい!」と強く意識するようになったのだと思います。
※エコヴィレッジ:持続可能性を目標としたまちづくりや社会づくりのコンセプト、またそのコミュニティ。
オーロヴィルは環境実験都市として世界的に知られており、
ヴィレッジ内に点在する集落では、ソーラーパネルやコンポストなどを
積極的に取り入れ、地域通貨も使われています。
旅行者は基本的にはゲストハウスで寝泊まりすることになりますが、
ボランティア労働の対価に寝場所と食事がついているものがあったり、
安価に長期滞在できる施設がいくつかあったりするので
冬季には寒いヨーロッパや北米から多くの人たちが避寒地として訪れています。
旅行者が滞在できるヴィレッジなので
エコライフスタイルに興味のある方は、一度、
ここでの生活を体験してみてはいかがでしょうか。
短期の語学教室もあるので、英語が苦手な人はそこから入るのもいいかもしれませんね。
道端はいろんな種類の木々が生い茂り、ハイビスカスなど色とりどりの花が咲き、
住民は落ちた花をさりげなく部屋や髪に飾っています。
ニームという薬木を使って歯を磨いたり、害虫よけに使ったり、
バナナやココナツの実を木から採って食べたり…。
オーロヴィルでは、ふだんの生活のなかに植栽された植物が生かされていました。
アスファルト舗装されていない赤土の道路は、
歩けば靴が汚れるときもあるけど、へっちゃら。
なかには、やわらかい土の上を裸足で歩いている人の姿も見かけます。
集落を歩いていると、花の香りだけでなく、
お香や精油の香りもほのかににおってきていい気分。
すべての家にテレビやキッチン、冷蔵庫があるわけではなく、
集落によっては食費を集め、共同キッチンで住人や滞在者が
交代で料理をしているところもあり、料理の内容もバラエティ豊か。
もちろん、インド料理がベースではありますが。
共同キッチンはエネルギーを節約し、人と人の触れ合いを増やすメリットがあります。
法律や指導者を決めずに営まれるヴィレッジだけに
運営は、住人の誠意や向上心にゆだねられており、
まさに個々の「人間力」が問われるところです。
感性豊かな人たちが世界中から個々の物差しを持って集まっている場所なので
それなりに問題もあると思いますが、だからこそ、共同体(コミュニティ)。
話し合って解決するときもあればやり過ごす時もある。
個人個人が精神的に「自立」していてこそ、うまく回るようになっているようです。
私が出会った人たちは、最小限の生活を心地よいとし、
誰かに何かを教えたり、生活に役立つモノを作ったりして暮らしていました。
また、食べ物は圧倒的にベジタリアンが多く、ふだんの食事はインド料理。
中には西洋料理のレストランやベーカリーカフェもあるので食に飽きることはありません。
夕方から集まって歌を歌ったり、おしゃべりしたり、情報を交換したり。
インターネットはありましたが、テレビがない家が多く、
その代わりに家族のコミュニケーションは盛ん。
見知らぬ旅人でも意識を同じくするところが見つかれば、次々と新しい出会いがあり、
そういった縁でオーロヴィルに住むことになった人も多いと聞きます。
地球上にはいろんな生活をしている人がいるのだなと
海外取材に出るたびに思っていましたが、ここでの体験は特別。
なんといっても先進国から来た人が多く、これまでとまったく違った
究極にシンプルな滞在時間を現地の人のように送っているのですから。
共同キッチンを借りて調理したときのこと。
私が持ち込んだダシ、醤油、酢、酒、みりん、ゴマのほか、
簡易調理の素などを見て驚かれました。
「日本料理はヘルシーでいいけど、ずいぶんいろんなものを使うのね。
パッケージも何重にもしてあって丁寧だけど、ゴミがたくさん出るわよ」
いえいえ、これは私が簡単に調理を済ませたいから持ってきたものであって
もともとはシンプルな材料でできる料理です…と言いたかったけど
確かに、調理後に小袋など、燃えないゴミが多く出たので言い訳もありゃしない。
価値観の違う人たちだから、気づくポイントがみんな違います。
環境を意識した生活をしている人だからこそ、気づくポイントでした。
43年間ヴィレッジが存続し、今もなお人口が増えているのは、
心のインスピレーションでこの土地に住みたい、と感じ、集まった人たちだから。
同じ地面を共有して自然の恵み、人の優しさを「享受」している感覚なのだと思います。
そういえば、オーロヴィルで出会った人にこんなことを言われました。
「あなたはもう、充分に得ていますよ」
インドにまで行ってパソコンをカチャカチャさせて
仕事をしている私を見て滑稽に思ったのでしょう。わざわざ声をかけてくれたのです。
何かを求めてインドまで出かけたのに、
頭はどこかに出かけていっていて、そこに「私」は居なかったのだと思います。
旅だからこそ、なおさら一瞬一瞬がさらに大切だったのに
それすらも感じられていなかった自分。
彼女の言葉は、いつもドキドキを求めていたのはなぜか、の扉を開く「鍵の言葉」だったのです。
さて、次回は日本の環境モデル地区への旅をご紹介します。
香りで旅する北海道をお楽しみに!
インド、タミルナードゥ州にあるエコヴィレッジ。「ヒューマン・ユニティー(人類の調和)」を目指し、インド政府やユネスコ、各国政府などの支援によって1968年に何もない荒れ地を開墾。200万本以上の木を植樹したところから始まりました。インドをはじめ、フランス、イタリアなど43カ国の約2200名の人たちが暮らしています。
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- 参考URL
- Auroville


- 朝比奈 千鶴(あさひな・ちづる) 環境カオリスタ、トラベルライター、編集者
- 旅行誌や機内誌、女性誌などに旅のエッセイやコラムを寄稿。自然や文化を体感することで旅人があらゆるものにつながりを実感する旅を「ホリスティックトラベル」として提案している。また、これまで国内外問わず「人びとの暮らし」を取材してきた経験から心地よい暮らしを提案するレシピ本などのプロデュースや企画編集も行う。
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