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山ガール、森ガールなどと騒がれて久しいこの頃ですが
リアルな山&森ガールのみなさんはそんな呼称も気にかけずに
この夏もせっせと登山やキャンプ、音楽フェスへと足しげく
アウトドアのフィールドへ通っていらっしゃることとお察しします。
私はこの夏は、残念ながらそんな素敵な予定はないのですが
スーハースーハーとうちわにたらしたあるモノの香りをかぎながら涼をとり、
昨年訪れた森林へと脳内トリップしております。
あるモノとは、北海道モミ(トドマツ)の精油。
トドマツが北海道に生えるモミ属の木であることから、
「北海道モミ」と名付けられた国産の精油です。
環境カオリスタのみなさんはこの北海道モミ精油を
ご存知の方も多いのではないでしょうか。
これをひとかぎ、目を閉じればとたんに深い森の中…。
昨年私が訪れた森林とは、北海道モミ精油のふるさとである下川町です。
この精油、実は「ゼロエミッション」という
森林と地域産業の無駄のない循環サイクルから生まれたもので
下川町では、精油だけでなく建物や、木酢液、バイオマスなどに余すことなく
森の恵みが回っているというのだから
訪れる前から興味津々な場所でありました。
ちなみに、下川町は日本政府より選定された環境モデル都市です。
2011年8月現在、CO2排出の少ない低炭素社会への取り組みを行っている
全国13都市が環境モデル都市に選定されています。
下川町は古くから林業が盛んな地域で、
1981年の雪害による被害木で木炭を作っていた頃から
積極的に「ゼロエミッション」に取り組んでいました。
ゼロエミッションとは、環境用語で
「資源とエネルギーを再利用し、循環して廃棄物をゼロに近づける仕組み」のこと。
例えば、動植物はさまざまな種のなかで
生態系を循環しながら生息していますが
私たち人間の世界でも、いろんな業種が集まることで
資源や廃棄物などを循環させていくまんまるなサイクルと
書くとイメージをしやすいのではないでしょうか。
トドマツ、カラマツなどの針葉樹や
ミズナラ、シナノキなどの広葉樹などが生い茂る森。
私はNPO法人森の生活が行っているツアー
「森林セルフケア」に参加したのですが
栄養がたっぷり含まれていそうなフカフカの土を踏みしめて歩くと
頭のすみずみまで酸素が行き渡っていき、鼻の奥、喉の奥が開くイメージ。
森を歩く前後に自律神経の活性度やバランスを測定したのですが
歩いた後は交感神経の緊張が改善、副交感神経の活動が良くなって
リラックスした状態になっていました。
視覚、聴覚、嗅覚など五感で森を堪能したことで
アロマテラピーのような鎮静効果が表れるなんて。
森歩きもいいけれど、どちらかといえば
ゆっくりと森林浴して癒されたい、
そんな方にはこんな宿泊施設での滞在がおすすめです。
適切に管理した森林から生産された木材に与えられるサステナブルな認証、
FSC認証を取得した下川産木材で作った「エコハウス美桑」。
価格は1棟2名で1万円(1名増えるごとに2000円追加)。
10名まで宿泊可能で、数人で泊まるとかなりお得。
環境に配慮したエコハウスに住むことを検討されている方には
ぜひ一度体験してもらいたい宿泊施設です。
なんといっても、室内そのまま木の世界。
建物の中も外も、森の恵みでいっぱいです。
窓辺で読書なんてしたら、あまりの気持ちよさにウトウトと眠りに入っていきそう。
これもまた、数値でも測ればリラックス状態になるのでしょうなあ。
隣に温泉もあるので、ワークショップなどを行いながらの数人での長期滞在もよさそうです。
そのほか、北海道モミエッセンシャルオイル蒸留体験や林業(間伐)体験など
旅行者でも参加できるアクティビティで
豊富な森の恵みを十分に感じられるのが下川町を訪れる最大の魅力。
一度ここに滞在し、気にいって、その後、移住してきたという方も何人かいらっしゃるそう。
町内をあちこちブラブラと散策しているときに
東京と下川を行き来しているという女性と出会いました。
「ここのどんなところを気に行っているのですか?」と質問してみたら
「ご覧のとおり、なーんにもないのがいいのよね」と答えられました。
確かに町では人の歩いている姿はあまり見かけられません。
冒頭で書きましたが、私がつい下川町の森林に脳内トリップしてしまうのは、
香りのほかに森と人がともに生きていく町の循環のかたちを、
しっかりと体と頭の記憶に刻んだからだと思います。
確かに、そこに「なーんにもない」からこそ、雑念なく拾える旅のかけらの集合体。
それは、人々の土地に寄り添った暮らしから生まれた知恵の数々。
森の中から林業→間伐材→家具やバイオマス→余った枝葉→
精油→マルチング材などなど、挙げればもっと広がりますが
産業がいくつかある中でくるくるとした循環のサイクルが生まれ、
舞台である森に触れ、製品に出合う。
北海道モミ精油を持ち帰ったことで
かの地の暮らしのサイクルと森を部屋に息づかせ、記憶をしっかりと紡いでいく…。
記憶といえば、旅の思い出にグルメは欠かせません。
もう一度下川に行く機会があったら絶対食べたいのが
レストランモレーナのカレー。
道内の別の地域でも「下川に行ったのならモレーナに行った?」と
聞かれるくらい有名なレストランで、カレーは必食の目玉メニューなのです。
いまも現役旅人だというご主人が創り上げた空間は
何時間いても飽きない居心地の良さ。
窓から見えるのは自然農で雑草もイキイキと生い茂る庭、
そして北海道らしいだだっぴろい平野の風景。
1000円札があればお釣りがくるメニューにもかかわらず
味も空間も、お金に代えられない内容でした。
モレーナだけでなく、下川はうどんも有名で
日本最北の手延べ麺の里でもあります。
8月下旬にはグルメの祭典「しもかわうどん祭り」も開催。
地元の手延べ麺を始め、各地のうどんが食べられるそうです。
そこで使用される割り箸はすべてFSC認証の下川産木材を使った
割り箸というのだから、贅沢なものです。
人口3,678人、日本最北端の環境モデル都市、下川町は
夏と冬で気温が+-で60度も違い、生活するには相当厳しい環境だと思います。
知恵を集め、循環型林業にいち早く取り組み、
自然との共存を図ってきたからこそ、一見いらないと思われるものにも
形を変えて有効活用してくるくる回るライフサイクルを作る。
それは、目的に沿わない=イラナイ=捨てる=新品を買う、といった
一歩通行の消費とはちょっと違う考えかたです。
さて、移住した人たちは、どのあたりに強く惹かれるものがあったのでしょうか。
彼らが見出した「そこに暮らす価値」とは?
「なーんにもない」の裏側に隠れた「いっぱいある」。
森を中心に据えた循環サイクルの一部として生きる人たちは
きっとこの「いっぱいある」をさまざまな方法で教えてくれると思います。
旅のつもりで訪れたら…もしかすると森の町へと
移住したくなってしまうかもしれません!
先に行かれた方は、ぜひ現地で森に触れて、そしていろんな人に話を聞いて
ぜひカオリスタ活動ダイアリーにその体験談を投稿してください。
森林林業体験やエッセンシャルオイル蒸留体験、森林セルフケア、そして宿泊施設ヨックルの管理などを行う森の生活は、森林やアロマテラピーのエキスパートたちがいる心強い旅行者の味方。誰でも参加できるパーマカルチャーガーデンサークルのほか、アロマ・ハーブコーディネーターのやつはしもとこさんによるアロマ・ハーブ講座も開講しています。また、2011年8月現在、地域イノベータープログラムを募集中。森との共生社会をデザインし、森林ツーリズムで地域と人がつながる仕組みを創出するために移住してチャレンジしたい方はこちらまでお問い合わせください。
森林セルフケア半日ツアーは2名以上の参加で料金はひとり3000円。オプションの自律神経測定は初回1,000円で2回目以降は500円。町の森林環境教育、ゆったりもりさんぽへ参加するとひとり500円でツアーに参加できるのでオトクです。
北海道モミエッセンシャルオイル蒸留体験ひとり9000円(3名以上より、スローフードランチセット、自分で作ったエッセンシャルオイル1本5ml、芳香蒸留水1パック500mlのお土産つき)
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- 朝比奈 千鶴(あさひな・ちづる) 環境カオリスタ、トラベルライター、編集者
- 旅行誌や機内誌、女性誌などに旅のエッセイやコラムを寄稿。自然や文化を体感することで旅人があらゆるものにつながりを実感する旅を「ホリスティックトラベル」として提案している。また、これまで国内外問わず「人びとの暮らし」を取材してきた経験から心地よい暮らしを提案するレシピ本などのプロデュースや企画編集も行う。
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