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ラベンダー畑
今回訪れたのは、北海道は富良野市。そう、あの癒しの植物として知られる、ラベンダーを求めてやってきました。ラベンダーは地中海原産のシソ科の低木。昭和に入り、香料会社が日本で試験栽培をはじめ、その後、北海道が栽培に適しているとされ奨励作物として広まったそうです。いまやすっかり定着した、「富良野=ラベンダー畑」のイメージですが、一時は耕作面積の増加による価格の伸び悩みや輸入香料・合成香料の競争などのため、衰退の道をたどったこともありました。復興のきっかけとなったのは、1975年、当時の国鉄のカレンダー。富良野のラベンダー畑がカレンダーで紹介されるやいなや、美しき紫色のじゅうたんを一目見ようと、全国の花好きがドッと押し寄せたそうです。そして80年代に入り、さらに富良野の名前を全国に広げたのが、脚本家倉本聰氏が手掛けたあの国民的人気ドラマ『北の国から』。富良野市麓郷地区(ろくごうちく)では、舞台となった家などさまざまなロケセットを見ることができ、ドラマシリーズの放送を終えた現在でも、そのロケ地めぐり人気はいまだ健在。富良野は毎年多くの人が訪れる、国内有数の観光スポットなのです。
ラベンダーが色づき始めるのは6月ごろ。季節はすでに初夏だというのに、さすがは北海道。カラリと涼やかな風が吹いています。向かったのは、旭川空港から車で一時間ほどの距離にある、ラベンダー畑。澄み渡る真っ青な空をバックに、一面のラベンダーが大地を染めています。おかむらさき、濃紫早咲など種類によって色に濃淡があり、まるでグラデーションを描くように、各々が咲き誇る姿はなんとも美しい光景です。そしてより印象深いのは、やはりその豊かな香り。ただそこにたたずむだけで、ラベンダーの清々しい香りが全身を包みます。

ラベンダー「はなもいわ」畑にかがみこみ、一本のラベンダーに顔を近づけてみると、香りはより強まり、胸がスッとすくようです。実際に畑で嗅ぐラベンダーの香りは、精油や香水などとは少し違い、土や大気のにおいと相まって、生命の力強さを感じます。それはまるで、ラベンダーの香りが持つおなじみのリラックス効果だけでなく、明日への活力さえも湧いてくるような野性味のある香りでした。

ラベンダーカラーのソフトクリーム
広大なラベンダー畑を歩いていると、目に飛び込んできたのが、ラベンダーソフトクリーム。天然のラベンダーエキス入りのソフトクリームは、すっと溶けた後に広がるラベンダーの風味がさわやかで、最後までおいしくいただける人気のスイーツです。青い空と心地よい初夏の風、眼下に広がるのはラベンダーをはじめとした花々の色彩のじゅうたん、そして手にはキュートなラベンダーカラーのソフトクリーム。この上なく幸せなひと時です。気分が高まったところで、敷地内にあるラベンダーオイルの蒸留工場へ。ここは国内で唯一、ラベンダーのエッセンシャルオイルを抽出している工場。7月~8月中旬にかけてのラベンダー開花期のみ、稼働しています。紫色のラベンダーから抽出されたエッセンシャルオイルはなぜか琥珀色。しかし色は紫でないものの、さきほどのラベンダー畑をギュッと凝縮したような、濃厚な香りを工場全体に放っています。ここで抽出された精油や蒸留水は、精油そのものとして、あるいは化粧品、香水などに加工され、癒しのアイテムとして人々の手に渡ります。
ラベンダーの美容や健康への活用は、実はずいぶん古くから行われているようです。そもそも学名にあるLavandulaは、Lavo(洗うという意味)やLiveo(青みがかった鉛色という意味)からきたといわれているそう。ローマ時代にはすでに沐浴や水浴にラベンダーが使われていたというから驚きです。なんと長くて深い、人類と植物の絆でしょう。このように時代や国境を超えて、私たちを癒してきたラベンダーですが、“日当たり・水はけ・風通し”のすべてが良い場所で植えることにさえ気を付けると、栽培はそう難しいものではないそうなので、ぜひ家庭でもトライしたいところです。
ドライフラワーにすると一年中その姿が楽しめますし、ポプリにして天然の芳香剤や防虫剤としても活用できます。また花や茎、葉を袋に詰めて、リラックス効果たっぷりの入浴剤にすることも。かわいい姿をしながらも有能なラベンダーは、私たち人類にとっていわば癒しの友達。これからもずっと仲良くしていきたいものです。
ラベンダーのシーズンはこれからが盛り。是非行ってみてはいかがでしょうか?
<2010年7月取材>

左)ラベンダースイーツ 右)多彩なラベンダー畑
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